墨荘堂ブログ

西洋医学全般のセカンドオピニオンとして立脚する「和方鍼灸」を追求する関墨荘堂鍼灸治療院のブログです。
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和法鍼灸 関 墨荘堂
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漢方・鍼灸によるクローン病の治療方針
 前回は西洋医学の治療方針を概説しましたので、今回は漢方・鍼灸によるクローン病のアプローチ方法を解説してみます。

前回の説明の中にもヒントがあったのですが、免疫システムが異常を起こしている「場」が問題だと言うことです。つまりもしHIVのように全身の免疫システムが異常を起こしているのなら、身体のどこに異常が出てもおかしくありません。

でもクローン病の場合、腹痛・下痢・瘻孔などのように消化管だけに症状が限定しています。ということは消化管の「場」が抱えている問題を解決してやらなければいけないのではないかというところに落ち着くと思うのです。

ですから漢方・鍼灸ではその「場」が良くなるように、気・血の流れを良くし、循環を改善して消化管が本来している役割が出来るようになるまで補助することをする訳です。

ただしクローン病の難しいところは、診療してもらっているだけではなかなかうまく行かないことでしょう。そこで治療をしてみて実感したことを挙げてみたいと思います。

1. 患者さんに手術はしたくない、免疫抑制剤やステロイドは飲みたくないという強い意志が必要。
2. 自宅で施灸する手間を惜しまない。
3. 単なる絶食でない食養生をきちんとする。

なんだ簡単じゃないと思われるでしょうか?こんなことでも1年続けるのは大変なことだと思います。最低でもこの3つがそろわないと完治は難しいので、患者さんも本当に治りたいのかという所を試されているのだと思えてなりません。

次回からは実際の症例で、如何に生活(仕事)をしながらこの条件を満たしていくことが難しいかを、後学の方達の為に残しておきたいと思います。
クローン病治療の問題点
 以前に書いた難病の話はやや精神論的でしたので、今回はクローン病の実際の治療を基にして、西洋医学と伝統医学のアプローチ方法の違いをご理解頂きたいと思います。ではまず復習から。

クローン病とは、消化管全域に、炎症および潰瘍を起こす原因不明の疾患で、腹痛、一日に数回以上の下痢を伴い、進行すると腸管の狭窄によって腸閉塞や、腸管の穿孔や瘻孔(ろうこう)、それらに膿が溜まった膿瘍ができることがあり、厚生労働省指定の特定疾患のひとつです。

消化管に、炎症および潰瘍を起こしているのは、自身の免疫を担当しているマクロファージが腫瘍壊死因子α(TNF-α)というサイトカインを分泌して腸壁の正常細胞を傷害しているからなのですが、発症の正確なしくみはよくわかっていません。

免疫系の異常の他にも遺伝的な素因や食餌因子などの環境的な因子も指摘されています。そこで西洋医学では内科的治療として栄養療法や薬物療法が行われ、外科的治療として腸閉塞や穿孔、瘻孔に対して手術が行われます。

具体的に薬物療法として使われるのは、抗菌作用、抗炎症作用、免疫抑制作用の相乗的効果があるメサラジン(商品名ペンタサ)や抗TNFα抗体薬(商品名レミケード、ヒュミラ)、経腸栄養剤(商品名エレンタール)、抗生物質、下痢止め、乳酸菌製剤等です。

これらの薬を見れば、西洋医学が何を目指しているかが理解出来ます。つまり食事制限を行って腸管内を安静にしておき、ペンタサやレミケードで炎症を抑え腸壁が再生されるのを待ち、まあ腸壁の再生はそんなに簡単にはできませんから絶食が続いて栄養摂取が行えない間は、エレンタールによる栄養補給を行うということでしょう。

もうお気づきとは思いますが、これらの薬の中には直接TNF-αを出さないようにする薬や、腸壁細胞の再生を促進させる薬はありません。だから肺炎に抗生物質が効くようにペンタサやレミケードはスカっとは効かないのでしょう。

結局治療の一番重要な部分は、患者さんの自然治癒力に任されている訳です。

元々体力がある人はこれでも治るのですが、このような方針がうまく機能しないため、何年もペンタサやレミケードを飲み、手術を繰り返して短腸症候群に陥って行く人が多いのではないのでしょうか?そしてこのような情報を開示出来ない(しない?)ことが西洋医学の問題点ではないでしょうか?

では伝統医学はどのようにアプローチするか、その話はまた次回に。