日本の身体
自ら能楽と合気道を実践する思想家の内田樹が、各界の所作の達人達と語り合った対談集。
茶道家、能楽師、文楽の人形遣い、合気道家、治療家、尺八奏者、マタギ等 職種は様々でも近代までの日本人は同じ身体運用法を持っていたことがわかる一冊。
今の伝統的な鍼灸には伝統などないのは確かだが、伝統である以上昔の治療を再現しようと思えば、このような身体操作は要求されることになる。治療のための理論より、結果を導きだための身体をまず作れということになるが、このような教育方針の専門学校は聞いたことがない。
『バガボンド』の作者、井上雄彦との対話の中で「ずいぶん武道の伝書は読みましたけど、『バガボンド』はそれに列するレベルだと思う。武道を志す人には、全部ここに描いてあるから、黙ってこれを読め。」という件が興味深い。
ともかく自分の求めているものがわからなくなっている人には、価格もリーズナブルであるし、一読をお勧めする。