2016年11月5日〜6日の2日間にわたってつくば国際会議場で開催された、WFAS Tokyo/Tsukuba2016(主催:全日本鍼灸学会・日本伝統鍼灸学会)は伝統鍼灸学会の協賛団体のほぼ全てが参加したオールジャパン体制でした。前回日本で開催された1993年の京都大会以来、実に23年ぶりということもあり、主催者側も当初は800人ぐらいを想定していたようですが、最終的に1700人を超える参加者があり、つくばは熱気に包まれていました。
我々もほぼ1年くらい掛かりきりであった、打鍼の発表をなんとか行うことができました。口頭発表になってしまったため、パワーポイントから全てを英語で作らなければならず、直前2か月ぐらいは大変苦労しました。
英文タイトルが「Introduction of the Traditional Japanese Acupuncture Dashin」という少し地味なタイトルでしたが、内容はお約束した通り、打鍼の開祖とされる無分翁の奥義に迫ったものです。文字の解釈や観念論ではなく、打鍼という技術をいかに再現して復活させ、臨床として完成させるかということが最終目的地です。
あの発表だけを聞いていると、内臓を挙げているだけと思われる向きもあるでしょうが、文字通りIntroductionであって、今回時間の関係で触れることのできなかった、内臓の升堤を持続させる方法や夢分流以前の古典に散見する無分翁の真伝の記述、詳しい手順、腹診も含めた主流派ではない各種療法との相関などは引き続き発表していく予定です。
当時最高の学僧であった沢庵宗彭が自分の病気を治すために薬ではなく鍼を選択した理由、その後没落したとはいえ、霊元法皇を生涯にわたって介護した技術(その功績によって二条通から松原通までの御土居(おどい)地を、御薗意斎(四代常倫)が個人で取得できたこと)のベースに打鍼があるという事実が、その本質を示しているものと思います。