墨荘堂ブログ

西洋医学全般のセカンドオピニオンとして立脚する「和方鍼灸」を追求する関墨荘堂鍼灸治療院のブログです。
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和法鍼灸 関 墨荘堂
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中国でも忘れられた良書
日本は言うに及ばず、中国でも注目されないけれど、中身はすごい。そんな本に妙に惹かれます。

以前に『鍼灸病証学』のところで『医学綱目』について触れましたが、余りにリアクションがないので、しつこく書きます(笑)

『医学綱目』は来歴も数奇なもので、1370年頃には成立していたにもかかわらず、「こんな良書を埋没させていいのか」と考えた曹灼によって200年後の1565年になってようやく公刊されました。

この嘉靖44年刊本や明刊本は、中国・台湾・日本でも比較的多数の本が残っているのですが、清代には刊行されず1937年の活字本以降はしばらく中国でも刊行されなかったため、入手が困難な時期がありました。

1987年の人民衛生出版社の点校本、1996年の中国中医薬出版社本が出て、なんとか読めるようになりましたが、いまではこれもあまり見かけないかもしれません。

日本とは違って中国では、鍼灸の専門書でなくとも読んだ方が良いものは『各科鍼灸学説』で取り上げてあるのですが、1988年版では『医学綱目』は取り上げられていません。

一部の頭の固い中医学信奉者には、中医学でも過去の実績を全て取り上げている訳ではないということを知ってもらいたいですねぇ

最初にこの本を読んだとき面白いと思ったのは、この本の構成の仕方でした。小曽戸先生も浦山先生も詳しくはふれていないのであえて書きますが、従来からの編集方針では病門別に分類していくのを、各蔵府の疾病に対する証治で分類しているのです。

具体的に肝胆部の内容を見てみると、

諸風、中風、眩、痓、破傷風、癘風、諸痺、涼悸征忡、怒、善太息、目疾、脇痛、諸疝、閉癃遺溺、前陰諸疾、筋、頭風痛、多臥 不得臥、咽喉が分類されています。

まあ中風、涼悸征忡、怒、目疾などはわかりますが、閉癃遺溺(排尿困難)のようなものは肝胆部なんですね。

この分類方法は臨床で蔵府経絡弁証として鍼師が使うには、実に使い勝手が良いんですよ。どうですか?読んでみたくなりました?

ただ、『鍼灸病証学』として使うには、少し配穴例が少ないのが難点だと思い、前回のブログで紹介させて頂いた訳です。

楼英先生は目立ちたがらない職人気質の大人だったと想像するのですが、20年経ってもこの想像は変わることはありません。

参考文献 小曽戸洋「漢方古典文献概説42 明代の医薬書その8
コメント
from: くさのね   2010/07/30 1:47 PM
墨荘堂先生

蔵府と証治での分類、興味深くて実戦的な試みなんですね。

なんとか埋もれさせずに、光が当たって欲しいものですね。

墨荘堂先生のトゥームレイダーシリーズ☆期待します(^^)
from: 墨荘堂主人   2010/07/30 3:56 PM
せっかくなので、もう少し解説させて頂いてもよろしいでしょうか(笑)

 肝胆部の症候はさらに細分化されていて、例えば破傷風なら、けいしょう(痙攣)、顫振(パーキンソン様のもの)、産後のけいしょうとなっています。
 また肝胆部が6巻、心小腸部が5巻、脾胃部が5巻、肺大腸部が2巻、腎膀胱部が2巻というように実際の外来での割合に近い並びになっています。

くさのね先生、いつもお付き合い頂き、ありがとうございます。
 期待して頂ける事は非常にありがたいですが、N先生、Y先生、U先生のような大御所に比べると、オリジナリティのなさは補いようが無いので、ただただネット上に正しい知識を残しておきたいという一念で、書き捨てております。
from: くさのね   2010/07/30 10:13 PM
補足解説をうかがうとさらに興味深いですね!
どこからか出ないかな(>_<)ドラえも〜ん!
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