墨荘堂ブログ

西洋医学全般のセカンドオピニオンとして立脚する「和方鍼灸」を追求する関墨荘堂鍼灸治療院のブログです。
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和法鍼灸 関 墨荘堂
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平成版『鍼灸病証学』
かつて本間祥白が手がけていた仕事に、鍼灸病証学の構築がありました。この仕事は不完全なまま『鍼灸病証学』として上梓されるのですが、結局は絶版になってしまいます。この試みが完成していたなら、現在の東洋医学臨床論の教科書も変わっていた可能性があったのに、誠に残念なことです。

本間先生が『鍼灸病証学』の自序の中で述べているように、この構想のベースには『東医宝鑑』があります。そこで『東医宝鑑』と『鍼灸病証学』を比べてみると『東医宝鑑』にあり、『鍼灸病証学』にないものがわかり、それは次のとおりです。

身形、言語、五蔵六府、蟲、脈、毛髪、天地運気、審病、弁証、診脈、用薬、汗吐下、
咳嗽、嘔吐、積聚、腸満、瘟疫、邪崇、癰疽、諸瘡、諸傷、解毒、救急、怪疾、雑方(霍乱、浮腫、消渇、黄疸、痎瘧は雑方の中の小項目としてあり)湯液序列以下本草の部分と鍼灸(主に経絡、経穴)

この項目を見ても『東医宝鑑』が良く出来た本だとわかりますが、許浚が影響をうけたのは明の楼英の『医学綱目』だったと思います。それは『東医宝鑑』では各項目の最後に鍼灸法があり、『医学綱目』もそのような構成になっています。また、『東医宝鑑』の鍼灸法は『医学綱目』からの引用が多いことからも、その影響を判断することが出来ます。

かつて浦山先生が「『医学綱目』の鍼灸」という論文の中で、『医学綱目』の重要性を指摘しているのにも係わらず、鍼灸界はあまり反応していないようです。

『医学綱目』の最大の売りは各病証を五蔵六府に分類した究極の蔵府経絡弁証本であり、鍼灸法が項目の最後に書かれているため、鍼灸の病証学を考えた場合ベースにするにはもっとも適した本だと思います。

また外景だけなら日本にも『東医宝鑑』にも負けない『経脈図説』という本があります。江戸時代の本には利用価値の高い本がいっぱいありますね。


現在日本伝統医学の標準化作業が厚生労働科研費を取って進められていますが、東洋医学臨床論(平成版『鍼灸病証学』だと思います)が『医学綱目』を越えられるかどうかに非常に興味があります。

私も外野なので、勝手なことを書いていますが、担当されている先生のご苦労は察して余りあります。ぜひがんばって頂きたいです。
コメント
from: やいと屋 知足斎   2011/01/27 11:16 PM
はじめまして、古典鍼灸に興味を持っている鍼灸師です。本間先生の「鍼灸病証学」を調べていてこちらへきました。

本間先生の鍼灸病証学の元ネタにホジュンの「東医宝鑑」があるということは、ネットとか鍼灸の先生に訊く上でわかりましたが、「医学綱目」がさらに元であるということは、こちらのブログで知りました。

さっそく、注文しました。もし僕のブログで取り上げる時は、こちらのブログにリンク&トラックバックをお願いしたいと思います。

他にも貴重な事がこちらのブログでわかり助かっております。これからも宜しくお願い致します。
from: 墨荘堂主人   2011/01/28 11:25 AM
知足斎先生、はじめまして。

マニアックな記事に、志のあるコメントありがとうございます。

リンク&トラックバックはご自由にどうぞと書こうとしてトラックバックを許可していないことに気付きました。とりあえずこの記事は解除しておきます。他にもご希望の記事があれば、解除致します。

『医学綱目』良い本ですよ。ぜひ感想をお聞かせください。
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