墨荘堂ブログ

西洋医学全般のセカンドオピニオンとして立脚する「和方鍼灸」を追求する関墨荘堂鍼灸治療院のブログです。
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和法鍼灸 関 墨荘堂
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チタン製九鍼 龍シリーズ
チタン製九鍼龍シリーズもラインナップが増え、最近加わった打鍼を加えて3兄弟となりました。

鍉鍼 龍双
 龍双は過去の記事を参照して下さい。

鑱鍼 龍牙

 写真の龍牙はお願いして、切れる直前位まで研いでもらってあります。

 これでは危険なため製品版はもっとマイルドな仕様になっているはずです。少なくとも九鍼研究会で講義を受けてもらって、鍼師さんのお眼鏡にかなえば、研ぎを入れてもらえるかもしれません。

打鍼 龍睡
 先日の鍼灸祭で始めて登場した龍睡ですが、これは面白い。使ってみると打鍼が三倍くらいうまくなった気がします。補法用(下)と瀉法用の性格の違いがはっきりしていますので、ぜひ試して頂きたいです。

金製が良いのは当然ですが、昨今は単価も高いので、コストパフォーマンスに優れたチタン製はお薦めです。

またチタンはイオン化傾向が金・銀とは全く反対に位置するので、金と組み合わせて使うと面白いことができます。

いずれも製品も問い合わせは正和堂さんまで
打鍼(うちばり)の道具
このページの内容は全面改訂し、新ブログに移行しました。
故四世鍼師神戸源蔵の鍼管と鍼(銀製)
最新号の鍼灸ジャーナルの松田先生と松本岐子先生の対談の中で、松田先生が日本の鍼灸教育の問題点として、教師が生徒に「鍼は効くんだ」という劇的なシーンを与える事が下手になっている事です。と述べているところがあり、これは以前から指摘されているように深刻な問題だと思います。

今や実技や治効理論は言うに及ばず、古典的な内容はほぼ削られていく教育現場なので、さもありなんと思うのですが、道具に対する認識も同様です。

学生さん達もこの道具はこうして使うんだと言う正しい情報を持っていれば、現在の様な古典軽視で情熱の無い鍼師が生み出される状況はないのではと思います。

そういう意味では教員の情報量はとても大切です。

名人と言われた四世鍼師神戸源蔵が亡くなったのもほんの少し前にも関わらず、今の学生さん達(時には教員も)の、名人の作ったものを見たことがないのでは、と疑いたくなる様なネット上の記述を見かけます。

大方の臨床家の先生にとっては当たり前の事も玉石混合の世界ですから、気付いたときには不十分な情報がまかり通る事になります。ましてや権威ある人間が発信していればなおさらです。

という事で、故四世鍼師神戸源蔵の鍼管と鍼(銀製)の画像をupしておきます。
今はまずネットで情報を探す時代ですからね。
チタン製鍉鍼「龍双」
先日の刺絡学会の販売ブースで気付いた方もおられると思いますが、チタン製の鍉鍼です。

九鍼研究会でもお話ししていますが、どうせ使うのなら鍉鍼は材質や先端の形状にこだわり、少しでも上質なものを使った方が良いと思います。

金やプラチナで鍛造であれば言う事はありませんが、職人さんとの兼ね合いもあり、なかなか良いものを探すのは大変です。
写真の「龍双」はチタン製なので最初持ってみると、頼りない位軽いのですが、いざ当ててみると気の集まるのが早く、さすが希少金属という感じです。

写真でも解る通り、先端は4種類ある事になり、根元はそれぞれ円鍼として使えます。太い円鍼は重宝するので、まだ良いものを持っていないけど色々な接触鍼をまとめて買いたいという方にはおすすめです。大きい方が約10cm、小さい方が約8cmです。

気になった方は、正和堂販売部まで問い合わせてみてください。まとめて注文すれば多少はディスカウントもあるそうです。
わが名は圓利鍼、ネット情報の憂鬱
 「儂は九鍼の第六鍼についている付喪神で眷属の中では雷鍼丸とよばれておるが、本名は圓利鍼という。最近の人間どもは何でも略すのが好きで、口も書くのが面倒くさくなり、員利鍼などと書きよる。名前だけならともかく、どう見たって仲間の円鍼に近いやつに儂の名前を付けおって、員利鍼は接触鍼などと言い出す始末。あきれてものが言えんとはまさにこの事じゃが、せめて円利鍼と書いてくれんかのう。」

最初から小説風の書き出しで何をトチ狂ったのかと思ったかもしれませんが、今回は圓利鍼のお話です。写真左の形状の圓利鍼と『霊枢』の記載のギャップには長年悩んでいたのですが、最近、雷鍼丸(笑)が現れて結論めいたものを教えてくれたので、皆さんにもお話しておこうと思います。

     
元々圓利鍼は『霊枢』の記述のごとく、「以て暴氣を取る」ことが目的の鍼で、葦原検校も『鍼道発秘』の自序の中で、「腰へ立つる鍼、手足へ響く其の形、稲妻の如く花火の如し。又久しく留めて進退する時は其の気の往来する事、炮玉の発するが如し。其の響き惣身へ通ず。」と述べているように鍼を刺入しなければ、発現しないような記述しかありません。

写真左の形状の圓利鍼はそもそも『古今医統大全』の九鍼図を元に、岡部素道と井上恵理が圓鍼として医道の日本社で作らせたものらしいです。そこで『古今医統大全』の図をよーくみてもらうとどうですか?

(↑クリックで大きくなります)

この図は他の鍼を見てもらえばわかるとおり、明らかに下が鍼先になるよう描かれています。ということは、どうも岡部・井上両先生はわざとか、知らなかったか今になってはわかりませんが、天地逆に考えていた事になります。

そうなると古典に記載された効果を出すための鍼の形状は、葦原検校が述べているように写真右の形状の圓利鍼という事になります。

九鍼研究会ではT先生に写真右の形状の鍼を作って頂き、臨床に使っていますが、これが実におもしろいんです。詳しくは『鍼灸ジャーナル』7号・8号のトークセッションをお読みください。

もちろん写真左の形状もありだと思いますが、これは岡部・井上両先生が最初に意図したように圓鍼であると思います。いったいいつから員利鍼に変わってしまったのでしょうか?

「なんじゃせっかく教えてやったのに結論は出んのか。もそっとまともなやつの夢枕に立たんと駄目なようじゃ。難儀なことじゃのう。」