墨荘堂ブログ

西洋医学全般のセカンドオピニオンとして立脚する「和方鍼灸」を追求する関墨荘堂鍼灸治療院のブログです。
<< July 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
 
和法鍼灸 関 墨荘堂
RECENT COMMENT
MOBILE
qrcode
PROFILE
無料ブログ作成サービス JUGEM
 
日本の身体

自ら能楽と合気道を実践する思想家の内田樹が、各界の所作の達人達と語り合った対談集。

 

茶道家、能楽師、文楽の人形遣い、合気道家、治療家、尺八奏者、マタギ等 職種は様々でも近代までの日本人は同じ身体運用法を持っていたことがわかる一冊。

 

今の伝統的な鍼灸には伝統などないのは確かだが、伝統である以上昔の治療を再現しようと思えば、このような身体操作は要求されることになる。治療のための理論より、結果を導きだための身体をまず作れということになるが、このような教育方針の専門学校は聞いたことがない。

 

『バガボンド』の作者、井上雄彦との対話の中で「ずいぶん武道の伝書は読みましたけど、『バガボンド』はそれに列するレベルだと思う。武道を志す人には、全部ここに描いてあるから、黙ってこれを読め。」という件が興味深い。

 

ともかく自分の求めているものがわからなくなっている人には、価格もリーズナブルであるし、一読をお勧めする。

 

 

董氏奇穴実用手冊

 数年前に研究会で王泰龍老師をお呼びしてから、臨床で董氏奇穴の即効性に驚いて、これは誰かしらネット上で発言しているだろうと探していたが、本家のHP以外はあまり見つけることができずに悶々としていた。

 

 もちろん個人的には何人かお弟子さんも存じ上げているので皆無というわけではないが、皆さん日本人らしく控えめな方が多いので、もっと董氏奇穴を宣伝しても良いのではと密かに思っていた。

 

 最近見つけた王智民先生は王泰龍老師から龍門鍼灸医術と董師正経奇穴療法を直伝された台湾出身の方で、この先生が董氏奇穴にたどり着いた経緯や日本の経絡治療との違いを書かれたブログはなかなか興味深く拝見させていただいた。

 邱雅昌先生の『董氏奇穴実用手冊』を勧めているのもその通りだと思うし、新城先生に巨鍼を習いに行くなど、今まで接点がなかったのが不思議なくらいである。

 

これから董氏奇穴をマスターしようと思っている人にはとても参考になると思う、ぜひ一読されたし。

 

http://gogo-e-hari.com/blog/category/tousikiketu/

『循経考穴編』の凌氏鍼書

『循経考穴編』は作者不詳ではあるが、黄龍祥先生は巻末の「背部図八髎穴弁」と「膺腹部穴図弁」の作者が厳振であることから、編纂者を厳振とし、清・康煕年間の編纂ではないかと考えている。


 本書にはすでに失われた佚分を豊富に引用しており、明堂訣式・鍼灸集書・凌氏針書・竇氏針書に加え最後に記載されている内景図は欧希範五臓図であり、文献として価値が高いと言われているのも頷ける。


 中でも中国の鍼灸の大家である竇漢卿から大きな影響を受けていると言われている凌雲は、明・清の医書には引用がほとんどなく、現在流布している鍼灸書はほとんどが後人の偽作らしい。真贋がはっきりしているものは、『循経考穴編』の厳振が引用した『経神集』(おそらく凌雲の鍼書)と『経絡考略』の子午流注に関する引用くらいであるらしい。

『循経考穴編』の全文テキストは中倉先生がupされているので、こちらから

新HPのブログはコメントが書けないので、業界ネタは気が向いたときにこちらで更新するつもりですので、お付き合いいただければ幸甚です。

徳川家康が熱望した秘薬
 3月15日から国立科学博物館で開催されている「医は仁術」展はもう行かれましたか?伝統医学に関する展示は前半1/3ぐらいですが、古書はもちろん経穴人形や鍼も展示してあり、結構見応えがあります。また中はフラッシュを焚かなければ撮影自由なのがすばらしい!やはり図版だと実際の紙質とかそういったものが伝わり難いですから。

展示物の中に徳川ミュージアム所蔵の徳川斉昭所用の薬壺というものがあり、中には伝説の秘薬「紫雪」が入っています。


紫雪が入っている壷は、蓋を含め表面には和紙が隙間なく貼られている。貼られた紙片には壷を開封した年と医師の名前が書かれていて、紫雪が厳重に管理されていることを教えてくれます。

家康と紫雪の因縁は山崎光夫氏が『我に秘薬あり 家康の天下取りと正倉院の名薬「紫雪」』という小説を書かれていて、かつて『和漢薬』に連載していた時に師匠からすすめられて読んだのですが、これが薬の専門知識と歴史小説のバランスが見事で、超面白いのでぜひ読んでみて下さい。

簡単に導入部を紹介すると、この物語は関ヶ原の戦いで勝利したとは言え、まだ天下の趨勢が決した訳ではなかった慶長7年と慶長8年の2回、徳川家康は天皇の命令がなければ開けることができない東大寺の正倉院を、二度にわたって開けさせました。正倉院は源頼朝、足利義政、織田信長、豊臣秀吉などの権力者も開けさせていますが一回だけであり、その目的は香木を切り取ることが第一であったと言われています。
だが家康が正倉院開封の目的にしたのは、収蔵帳に書かれていた古来、万能の解毒剤とされてきた幻の妙薬「紫雪」ではなかったのか……。というところから始まります。

紫雪は医薬の研究者ならば一度は目にし、できれば口に含んでみたいと熱望する名薬であり、口中に投じれば淡雪のように融けることから、「雪」の字が当てられていました。

実は関ヶ原の戦いに勝利してもまだ危機的な状況は何度かあり、それを紙一重の差でかわして来たのは、偏に養生にきわめて関心が深く、みずから『太平恵民和剤局方』を使用して製剤するのが趣味だった家康が、多くのライバルよりも長生き出来たからに他なりません。

天下取りを目前に毒殺をなによりも恐れていたにちがいない家康。権力を磐石にし、子々孫々に末長く伝えてくための手段を探していた家康。徳川三百年の政権安定の要素に成り得た「紫雪」とはいったいどのようなクスリだったのか…。
そしてついには紫雪を家康に教えた吉田宗恂に、中国から輸入され、唯一、正倉院に所蔵されているだけで、奥医師ですら現物を見た者はいない幻の薬、紫雪を作るよう命じるが…。
と言った感じで展開して行きます。

紫雪はその後徳川御三家はもとより、加賀前田藩でも作られていましたが、高価な材料を使った「真正紫雪」とは異なる一般向けの紫雪も作られ金沢などでは購入出来たようです。しかし現在では入手不可能と思われます。どうしても味わってみたい方は北京同仁堂で作っているようなので、家康の気分を味わいたい人はそれを購入するしかないと思われます。



 
霊蘭集萃
 
国家図書館・国家古籍保護中心・中国中医科学院編 2011年5月 国家図書館出版社発行

2011年の5月から6月末まで中国国家図書館でおこなわれていた、中華珍貴医薬典籍展のカタログです。

卜辞や馬王堆帛書の『足臂十一脈灸経』、元至元五年胡氏古林書堂刻本『新刊補註釈文黄帝内経素問』十二卷 元至元五年胡氏古林書堂元至元六年印本『新刊補註釈文黄帝内経霊枢』十二卷 など約80册のタイトル部分のみがカラー図版で収録されています。発色、紙質などは良い感じです。コート紙ではありませんが。

中国では宋の時代から印刷が始まり、国家事業として医書も出版されましたが、この図録には宋版は『傷寒明理論』、『傷寒要旨』、『劉涓子鬼遺方』、『経史証類備急本草』、『本草衍義』、『医説』など6点ほどしか収録されていません。


もちろん林億達が校訂し、皇帝や政府機関向けに作った大字本の『素問』などは亡佚してしまい、我々は見る事が出来ません。

現在ある宋本から想像するに大字本は、王羲之の「双鉤填墨(そうこうてんぼく)」のように緻密な芸術的な作りであっただろうと想像されます。
『九鍼実技解説』に質問をいただきました
『ビジュアルでわかる九鍼実技解説』が発売されて、半年程経ちました。この間きちんと読んでおられる好学の士もいらっしゃるようで、いくつか質問も頂きましたので、この場をお借りしてお答え致します。

質問1
P.108 5行目
「核起りて赤き者は、必ず奔豚を発す。」の「核」とは何のことを指しているのでしょうか?

 これは火鍼で邪が残ってしまった場合の症状と対処法を述べた所で、核とは鍼をした跡が腫起していることを現しているそうです。火鍼の弊害はほとんど火邪が残っている所にさらに火を加えてしまった場合に起るようです。

質問2
P.108 16行目
「神鍼火とは…」の行に「太さ雞子ほど長さ五〜六寸の木鍼に削って…」 とありますが「雞子」とは何の事を言っているのでしょうか?

 雞は鶏の異体字で、まさに「卵大の太さに削った木の鍼」ということです。P.137の灸法に出てくるネパール式の棒灸の使い方と同じです。4章P.175の「温石」の解説に出てくる「雷火鍼」や「太乙神鍼」の古い形ということになるでしょうか。

質問3
P.116(12−1)打鍼について5行目
「中興の祖といわれる御薗意齋(松岡または山田)により…」この松岡さん、山田さん…どなたなのでしょう?

 これは東京の研究会ではお話しさせて頂いていますが、長野先生の織豊〜江戸初期にいた三人の意斎同一人物説に基づいているものです。
 根拠となる論証については『日本腹診の源流』の解説を読んで頂ければ良いのですが、結論だけ言うと意斎は三つの顔を使い分けていたということです。

 一人目の宮廷医としての御薗意斎、二人目は市井の鍼立としての松岡意斎、三人目は学医として山田意斎で、当時の下克上という世相を考えれば、名字も無かった下層階級から朝廷まで一気に上り詰めた人生は、実態の証明出来ない多田源氏の末裔というよりはるかにリアリティーがあると思いませんか?

『難経集注』の不思議

何度かお知らせしている、日本伝統鍼灸学会の創立40周年記念大会で記念品として出版する『難経集注』は、江戸時代に出版された本ですが、なぜか『難経』の底本となっている本です。


江戸時代に出版された本が、中国医学古典の底本になるなんて不思議ですが、書誌学的にはとってもおもしろい理由があるのです。


そもそも『難経』は昔の人達にとっても内容が難しかったらしく、他の古典医書より早くに注解書が出来ていました。最も古い注は三国呉の太医令呂広の注本で、『素問』『霊枢』の注本でさえも出来るのはもっと後のことです。


『難経集注』の正式名称は『王翰林集註黄帝八十一難経』というのですが、呂広の後も唐の楊玄操、宋 の丁徳用・虞庶・楊康侯らの注文を収集して編纂したわけです。こういう便利な本が出版されると、当然最初の呂広注本などは使い勝手が悪いため出版されなくなります。


呂広注本の内容は全て『難経集注』に含まれていると考えられますが、無くなってしまうと比べることが出来ないので、本当の呂広注本の内容はわかりません。


また、『難経集注』が便利だった為に、北宋以前の他の注解書はすべてなくなってしまい、だんだんと『難経集注』の影響力が増して行きます。


こうして時代が下って行くといつの頃か、『難経集注』でさえ、字の間違いが少ない系列が中国には無くなってしまい、誤字脱字の多い系列の本しかなくなってしまいます。


ここで話は日本に移ります。


たまたま日本では字の間違いが少ない系列が出版されていて、それが今回記念出版される「慶安本」です。「慶安本」自体も刊行後、版木が火事で失われてしまうために、少部数しか残らないということになってしまいます。


もちろん単行の注解書であれば、宋代の注解や、『難経本義』など「慶安本」より古いものはいくつか存在しますが、『難経集注』としては「慶安本」が最も良い底本となってしまうのです。


評議員の先生からは『難経本義』も一緒に出しては?というご意見を頂いたのですが、今回は実現しませんでした。私も本音は出して欲しかったのですが…。


ざっくりと「慶安本」の意義を書いてきましたが、大会中が通常価格より安く買えます(会員なら最も安く買えます)ので、購入を検討されている方は、ぜひ大会開催中(10/27〜28)に会場でお求め下さい。

出版情報
 4年程格闘していました九鍼マニュアルが、4月末に発売される事となりました!

現在最終校正まで終了したので、大幅な変更がない限り『ビジュアルでわかる九鍼実技解説』というタイトルで出る事になりそうです。

九鍼実技解説 最終決定のデザイン

定価も決定しました。4,600円(税別)で、発売日は5月20日です。

また5月27日(日)に、出版記念会も新宿のハイアット リージェンシー 東京で行われる予定です。過去の研究会に参加されていた方には案内が送られる予定ですが、参加していなかったけど、どうしても参加したいという奇特な方は、九鍼研究会の事務局にメールを出してみてください。案内を送ってくれると思います。

ちなみに出版本謹呈つきで会費12,000円です。

『新版刺絡鍼法マニュアル』も出る予定ですが、最初は本屋やネットでも売らないかもしれません。詳細が決まりましたらお知らせします。 

人体惑星試論奥義書
皆さんはもう購入されましたか?

新城三六先生の最新刊です。
以前から噂のあった人体惑星試論の奥義書です。巨鍼もカルチャーショックがありましたが、「経筋腱収縮牽引」から「虹彩診断」を経て先生が行き着いた「人体惑星試論」、学生さんでなくともとても気になりますねぇ。

サブタイトルにもある「客観的診断と再現性ある治療を求めて」がぐっときますね。

ただし定価23,000円ですので、買う人を選ぶ価格設定です。学生さんはお年玉、勤め人はボーナス、私はへそくりを使うしかないです。ヽ(≧Д≦)ノ
ゲラ出ました
新版刺絡鍼法マニュアル、とうとうゲラが出ました。



これから校正です。

あとは役員の先生方がテキパキチェックして頂ければ出版です。皆さんも役員の先生が仕事をするように念を送って下さい(笑)

このところブログを更新出来ないのは、出版関係の仕事2つと学会発表の準備2つが同時にきているためです。申し訳ありません。

閑話休題

松田博公先生の新刊『日本鍼灸へのまなざし』の脚注に、墨荘堂ブログの内容(舎岩鍼法に関すること)が引用されていました。

本を贈呈して頂いて初めて知りましたので、びっくり致しました。
松田先生、気づいていただいた上に引用までして頂き、ありがとうございます。

近々その続きを書く予定にしております。

追記:
遅ればせながら、『日本鍼灸へのまなざし』を紹介させていただきます。
日本鍼灸へのまなざし
日本鍼灸へのまなざし